技術担当 スペシャリスト 原田 浩史 氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社

現場業務のデジタル化を支援する
「Meister AR Suite™」新バージョンの
開発パートナーとしてシリコンスタジオを選定

東芝デジタルソリューションズ株式会社
O&M・IoT ソリューション&サービス部

【インタビュー 】技術担当 スペシャリスト 原田 浩史 氏

導入企業

東芝デジタルソリューションズ株式会社

事業沿革: 東芝グループにおけるデジタルソリューション事業領域の中核企業。ものづくりの現場から、エネルギー、公共インフラ、鉄道・産業システム、ビル・施設、流通などさまざまな領域で培ってきた幅広い経験やノウハウと、IoTや人工知能(AI)など先進のデジタル技術を融合し、さまざまなインダストリー領域の企業や官公庁・自治体のお客さまへ向けて、デジタルソリューションをグローバルに提供している。これまで培ってきたシステムインテグレーション力をベースに、CPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジーを活用した新たなサービスや価値の共創に取り組んでいる。

所在地
〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72-34

概要

東芝グループのデジタルソリューション事業を担う東芝デジタルソリューションズ株式会社は、設備保全に関わる現場作業をAR(拡張現実)でサポートする「Meister AR Suite」の新バージョン「V2.0」の開発にあたり、AR技術を含むスマートデバイスアプリとコンテンツ作成用のWindowsアプリケーションの開発をシリコンスタジオに委託した。細部にわたる機能強化によってユーザビリティと自由度が向上し、幅広い用途のコンテンツ作成に対応が可能な製品となった。

課題

  • AR技術を使ったアプリケーション開発の知見が不足していた
  • 操作性改善と機能強化を図った新バージョンが求められていた

解決策

  • AR技術によるアプリ開発実績が豊富なシリコンスタジオに委託
  • 異なるプラットフォームで動作するアプリケーションを同時開発

効果

  • 誰でも簡単にARコンテンツを作成できる新バージョンが完成
  • 使いやすいユーザーインターフェイスが高い評価を得る

AR技術の知見・実績から
シリコンスタジオを選定

東芝デジタルソリューションズは2018年5月、主に設備保全に関わる現場作業をAR(拡張現実)技術で支援する「MeisterAR Suite」を発売した。熟練作業者の高齢化・減少による人材不足と技術継承や業務効率化の難しさといった現場課題を解決するソリューションとして、製造業、エネルギー、社会インフラの工場・プラントなどに広く導入されている。
Meister AR Suite開発チームの東芝デジタルソリューションズ原田浩史氏(以下、敬称略)はこう振り返る。

原田

「Meister AR Suiteは、アプリ開発技術はもちろん、ARや画像認識といった専門知識のないユーザーでも、スライド作成ツールのような感覚でAR技術を駆使したデジタルコンテンツを作成できる製品です。しかし当初のバージョンは、コンテンツ作成用アプリケーションも閲覧用アプリケーションも同じプラットフォーム上で開発していたため、利用シーンや動作環境が異なるアプリケーションを作成したときに、どうしても使いにくい部分がありました。この課題を解決するために、コンテンツ作成用アプリケーションのプラットフォームを変更した新バージョンの開発を決めました」

 

ところが、東芝デジタルソリューションズの社内にはAR技術を使ったアプリケーション開発の知見や実績が十分ではなかったという。

原田

「そこで新バージョンの開発にあたり、AR技術の豊富な知見を有する専門家に加わってもらおうと、開発パートナーを探すことにしました」


複数の開発ベンダーを候補に挙げ、AR技術を利用したアプリ開発の経験と技術力、さまざまなプラットフォームでの開発技術、ユーザビリティを追求したアプリの開発実績、そして東芝が求める開発・品質保証プロセスへの理解といった要件について比較検討した結果、選定されたのはシリコンスタジオだった。

原田

「シリコンスタジオとは、3Dプリンターを活用した当社のネイルチップ(つけ爪)サービス『Open Nail』の3Dデータ加工ソフトウェアの開発を委託するなど、以前から取引関係にありました。また、グループ会社でAR技術調査業務を依頼した実績もあり、AR技術に対する知見を十分に備えていることは認識していました。さらに産業向けソリューションだけではなく、高いユーザビリティが要求されるコンシューマー向けゲームの開発実績もあること、オンラインゲーム事業者などに大規模ネットワークの設計・構築・運用サービスを提供していることも決め手となり、シリコンスタジオをパートナーに選定しました」

技術力・発想力を持つ人材を高く評価

東芝デジタルソリューションズは2018年5月、主に設備保全に関わる現場作業をAR(拡張現実)技術で支援する「MeisterAR Suite」を発売した。熟練作業者の高齢化・減少による人材不足と技術継承や業務効率化の難しさといった現場課題を解決するソリューションとして、製造業、エネルギー、社会インフラの工場・プラントなどに広く導入されている。
Meister AR Suite開発チームの東芝デジタルソリューションズ原田浩史氏(以下、敬称略)はこう振り返る。

原田

「旧バージョンからのバージョンアップは開発プラットフォームの変更もあって、ほぼゼロから開発をし直すことにしました。ソリューションの特性やリスクを考慮してアジャイル開発手法を取り入れましたが、シリコンスタジオから製品を良くするために有益なインターフェイスや詳細仕様などの提案もあり、スムーズに開発を進めることができました」


原田氏が特に高く評価したのが、シリコンスタジオの“人材力”だ。

原田

「シリコンスタジオには有能なプロジェクトマネージャーをはじめ、技術力や発想力に優れたメンバーを数多く揃えてもらいました。ちょうど開発が始まった時期にコロナ禍に見舞われ、対面による打ち合わせが制限されるなど、これまで経験したことのない環境でのプロジェクトになりましたが、途中でメンバーの入れ替えなどがあっても工程・品質に影響なく開発が継続できたのは、シリコンスタジオの人材力のおかげです」

このように開発が進められたV2.0は2020年9月にリリースされた。V2.0ではAR技術を含むデジタルコンテンツをノンプログラミングで作成・編集できる「ストーリーデザイナー」と、スマートデバイスで閲覧・再生できる「ストーリービューア」をパッケージ化。使いやすさを追求したユーザーインターフェイスの改良や細部にわたる機能強化を図ったことで、ユーザビリティと自由度が大幅に向上し、より幅広い用途のコンテンツ作成に対応できる製品が完成した。

「Meister AR Suite」システム全体の構成

想定どおりの製品の完成が最大の効果

Meister AR Suite V2.0は「誰でも簡単にARコンテンツを作成できる使いやすいインターフェイス」といった特長が、ユーザーから高く評価されている。「想定していたとおりの製品に仕上がったことが、シリコンスタジオを開発パートナーに選定した何よりも大きな効果」と原田氏は話す。

原田

「産業界での活用が期待されるAR・VR・MRといった表示技術は、非常に早いスピードで発展し続けているので、今後もトレンドをキャッチアップしたり、新技術に対応したりしていく必要があります。その点、AR技術をはじめコンピュータグラフィックス領域のトップランナーであるシリコンスタジオの知見や技術力のおかげで、さらに良いソリューションに成長させていくことが期待できます。これもシリコンスタジオ選定の効果のひとつです」


ちなみに、Meister AR Suiteは2021年3月に「V2.1」がリリースされるなど、継続的な改善・改良が行われている。

原田

「V2.0の開発はアジャイルで行いましたが、ある程度の形ができたため、V2.1からはウォーターフォール型で開発を進めています。開発手法を切り替えたことでプロジェクトメンバーには苦労もかけていますが、難なく対応してくれるシリコンスタジオをみていると、本当に選んで良かったと感じています」

このように開発が進められたV2.0は2020年9月にリリースされた。V2.0ではAR技術を含むデジタルコンテンツをノンプログラミングで作成・編集できる「ストーリーデザイナー」と、スマートデバイスで閲覧・再生できる「ストーリービューア」をパッケージ化。使いやすさを追求したユーザーインターフェイスの改良や細部にわたる機能強化を図ったことで、ユーザビリティと自由度が大幅に向上し、より幅広い用途のコンテンツ作成に対応できる製品が完成した。

原田

「Meister AR Suiteはこれからも“使いやすさ”という特長を維持しつつ、多くのユーザーの用途・利用シーンに対応できるように機能を追加していきたいと考えています。また現時点におけるスマートデバイスはiPhone/iPadのみの対応ですが、今後はスマートグラスなども含めて対応デバイスを拡充していく予定です。さらにコンテンツデータの管理サービスや他システムとの連携なども進め、現場業務のデジタル化に貢献するソリューションを目指します」


シリコンスタジオは東芝デジタルソリューションズの開発パートナーとして、今後もMeister AR Suiteの開発・発展に尽力していく考えだ。

 

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