ダイナミックなラージワールドのライト編集

2016年3月15日

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2015年にもっとも売れたPCとコンソール向けゲーム10タイトルのうち6タイトルが、巨大なオープンワールドや何キロメートルも見渡せる景色で構成されたものであることをご存じですか? 今のハードウェアでは、そのようなシーンのレンダリングも可能ですが、一定の課題も存在します。英ARM社の子会社であるGeomerics社でもっとも関心があるのは、「そういったシーンをどうやってライティングできるのだろう?」という問題です。さらに重要なのは、「そういったシーンは、どうやったらアートディレクターが認めてくれるクオリティで効率よくライティングできるのか?」ということです。

オープンワールドのようなゲームはとても人気があります。マップのサイズはどんどん大きくなり(例えば 「Witcher 3」 は136平方キロメートル)、ゲームのコミュニティは忠実なビジュアルを追求する方向に進んでいて、フレームレートや機能は世代を経るごとに日々進化しています。

Geomerics は、今年のGDCで新世代のテクノロジーをローンチしました。ライティングをエクスペリエンスの中心に据えるような、オープンワールドのゲーム開発者のみなさんを刺激するものになると思います。私たちは、1日の時間の動きなど、ダイナミックなライティングエフェクトをオープンワールドのゲームで実現できるような新しい技術を開発しました。広大なシーンでグローバルイルミネーションを更新する際のパフォーマンスコストは半分になり、これにより、より多くのダイナミックライティングエフェクトを含めたり、クオリティを高めたり、マップサイズを大きくすることなどが可能になっています。

この技術は、Enlightenの新しいデモ「Seastack Bay」で初披露することになります。これは、「Hellblade」の開発スタジオであるNinja Theory社と共同で開発したものです。Seastack Bayを俯瞰してみると、浜辺は長さが1キロメートル、プレイアブルエリアは広さが25平方キロメートルあります。開発は9月にスタートし、たった2人の環境アーティストと1人のテクニカルアーティスト(と大量のコーヒー!)が断続的に従事しました。

ダイナミックな1日の時間の経過をラージワールドのゲーム内で

新しいEnlightenテクノロジーの効率性が高まることによって、スケールの大きなライティングの変更が一貫性をもって行われ、オープンワールドゲームにおいてリアルタイムにグローバルイルミネーションを更新できるようになっています。
Seastack Bayでもっとも注目していただきたいのは、ダイナミックな1日の時間経過サイクルです。シーンを移動すると、それにつれてライティングが夜明けから正午、そして午後から夕暮れ、夜まで移り変わります。そのほかにも、森林火災や火山の溶岩など、ゲームプレイに使えそうなシーンもあります。実行時にライティングをダイナミックに更新する機能により、アーティストやデザイナーがシンプルかつ効率的にライティングを使って、シーンのムードを変えることができるようになっています。ゲームはフレームレートへの影響なく、穏やかな日差しから恐ろしい炎まで自然に遷移します。

ライティングが連続して更新されても、目標フレームレートの30FPSをPCとPlayStaion4の両方で維持できます。EnlightenではPC上で23ミリ秒、PlayStation4上で67ミリ秒のピークに達し、プラットフォームにより1フレームごとに、または1フレームおきにグローバルイルミネーションが更新され、十二分に滑らかで高品質なユーザーエクスペリエンスが得られます。

垂直方向のレベルデザインに対応

広大で平らな景色の場合、直接光とスカイライトが主な光源となります。ライティングの反射が見栄えに与える影響はごくわずかです。しかし、ワールド内に垂直方向の地形や断崖、岩や洞穴が平原から出現するよう設計されると、途端にグローバルイルミネーションが非常に重要な役割を果たすようになり、そのエリアに繊細な色やディテールを吹き込むようになります。そうでなければすべては暗いシャドウに埋もれてしまいます。

グローバルイルミネーションが三次元レベルでより発揮できる価値は、Seastack Bayの峡谷でもっとも顕著に見ることができます。何回もバウンスするEnlighten技術により、100メートルの高さの崖にある遮へいされた洞穴を、直接光の小さな光源のみで照らすことが可能になります。とても自然で、ベイクしてもアーティファクトなしに達成することはとても難しいでしょう。そのような場所に別のやりかたで光を当てようとすると、シーンに50ないしは100個の直接光源を置かなければなりません。許容可能なレベルの品質に到達するまでに膨大な時間がかかります。Enlightenはゲームとエディターの両方でリアルタイムにグローバルイルミネーションを計算できるため、また物理ベースシェイディングをフルサポートしているため、環境アーティストは自然の摂理に従って作成された2つの光源を使い、迅速かつ簡単にこのような場所を光で満たすことができます。結果として得られるシーンは、作成が困難なエリアであっても、リアルな世界の美しさと即時性をコンピュータグラフィックスで実現します。

閉鎖された空間と屋外の設定の間をシームレスに往来

ダイナミックなグローバルイルミネーションに対し、従来型のアプローチでは、屋内領域と屋外領域のどちらか一方の問題しか解決できませんでした。屋内空間(ビルなど)、更に狭い空間(断崖など)から、平らな開かれた領域(海岸など)まで、あらゆるタイプの環境への対応を、品質や性能を犠牲にせずに実現するという解決策はありませんでした。

オープンワールドシーン用のEnlightenのアウトプット(ライトマップ、プローブおよびリフレクションキャプチャー)は、閉じられた環境の場合とまったく同じです。オープンワールドの開発者が夢見るような、いかなる環境に対してもスケーリングすることができます。この最新の技術があれば、オープンワールドのシーンを、非常に効率よく処理することができるのです。

プレイヤー目線でいうと、グローバルイルミネーションが一貫性をもって更新されるので、キャラクターが屋内から屋外へシームレスに移動できます。キャラクターの冒険は、さまざまな環境や光の中を通り抜ける間も損なわれることはありません。これは、プレイヤーを没入させ、求められる雰囲気を作り出すためにとても重要です。

アーティストの観点からみると、ひとつのライティングソリューションで、どのような環境でも正しい結果を短時間で達成できるという安心感があります。

by Geomerics, an ARM company

※ この記事は英語から翻訳されました。

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