テクニカル・インサイト

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2010年7月9日

第三回:E3レポート
その②

  • 世界最大級のゲーム関連の見本市がE3が、今年も初夏の時期、6月15日から3日間、アメリカのロサンゼルスで開催されました。
    今回はその様子をレポートしていきたいと思います。
  • E3レポート続き・・・
  • 完全ハンズフリーなKINECTに対し、PS Moveでは、このスティック状のコントローラを持つ必要がある点が煩わしいように映りますが、この「ユーザーになにかを持たせる」ことが優位に働く局面もあります。 KINECTは、全身の手足の動きや姿勢を認識できますが、手の向きや角度、指の動きは認識していません。一方、PS Moveはコントローラを持ってプレイすることになるので、手の動きや、ボタンをしたときのアクションを取得できます。KINECTでは、人体の手足の動きや全身の姿勢を取得し、これを仮想空間内に投影することで、仮想空間内における自身のアピアランスを体現できますが、なにも持たないシステムであるが故に「仮想空間との相互インタラクション」が行いにくいハンデがあります。 例えば、卓球ゲームなどではKINECTでは腕の軌道や速さは入力できますが、PS Moveでは加えて手首のスナップを入力できます。銃撃ゲームではPS Move、KINECT共に画面に狙いを定める行為は取得できますが、引き金を引くアクションは実体コントローラのボタンを押せるPS Moveでしか取得できません。
    E3_SOCOM4
    「狙って撃つ」ことができる銃撃アクション系ゲームはPS Moveならではのコンテンツとなる。
    画面は2010年秋発売予定の「SOCOM4」。
    ShootingGun
    こうしたガンシューティング用のアタッチメントも発売される
    waterpistol_boy
    PS Eyeで捉えた実写映像にCGを合成することで、拡張現実的なゲーム表現をも可能にするPS Move。
    画面は2010年秋発売予定の「Eye Pet」より。
    また、SCEはPS Moveが立体視と組み合わされることで、ゲーム体験がさらに上の次元へ進化する、と主張しました。 立体視時は、PS Moveで取ったアクションが、そのまま仮想空間に立体的に反映されることとなり、没入感が高まります。さらに、PS Moveでは前述したように、仮想空間へインタラクションする意志を伝えやすいため、仮想空間内のオブジェクトを立体視覚的にポイントしたうえで、削る、叩く、引っ張るといったアクションをコントローラのボタンを押すことで行うことが出来ます。 さらに、PS Move コントローラには振動機能がありますから、そうした仮想空間内のオブジェクトにインタラクトしたレスポンスとしてこれを振動させれば、仮想空間内のオブジェクトから刺激を受けたような感覚を再現できます。つまり、PS Moveは立体視と組み合わせることで、簡易的ではありますが、いわゆる触覚学(HAPTICS)分野の体験をも実現できるというわけです。 PS Moveはゲームコントローラーですが、立体視と組み合わされることで、仮想空間への相互ナビゲーション・インターフェイスとしての素養が現れてくると、SCEは訴求していました。
SCE_Move4
PS Moveは立体視と組み合わさることで
ゲーム世界との相互インタラクション体験までをも可能にする。
  • ちなみに、もちろんKINECTにおいても、ハンズフリーではなく、あえてなにかのコントローラを持たせることでPS Moveと同等のことは出来ますから、技術的視点において、この2つに対して完全な優劣を付けることは出来ません。ただ、両社がそれぞれ目指すところが微妙に違っている…ということは間違いありません。 さて、このPS Moveを動作させるためのハードウェア・リソースですが、SCEによれば、PS3のCPUであるCELLプロセッサ内のSPE(Synergistic Processor Element)を1基だけ専任させ、メインメモリも約2MB利用できればPS Moveのランタイムを動かせ、パフォーマンス的にも十分だとのことです。認識遅延時間はわずか20ms程度(約1フレーム強)だそうで、リアルタイムゲームにおけるコントローラとしてのポテンシャルも高そうです。 PS Moveの発売は欧州では9月15日、北米では9月19日、日本では10月21日と発表されました。日本での価格不明ですが、北米ではPlayStation Moveモーションコントローラ単品が49.99ドル、移動操作用のサブコントローラは単品で29.99ドルとなる予定です。ちなみに、PS Eyeは既発売製品であり、こちらは現時点での実勢価格4,000円程度となっています。この他、PS MoveとPlayStation Eye、そしてPS Move専用ゲームソフトのセット商品、PS3本体とPS Move一式のセット商品なども発売となる予定だそうです。
    heavyrain
    アップデートで既発売タイトルをPS Moveに対応していく計画も示唆。
    ブースでは2010年2月発売の「HEAVY RAIN」をPS Moveに対応させたバージョンを公開していた。
    • 任天堂は立体視対応の携帯ゲーム機「3DS」を発表
  • 噂通り、任天堂は今年のE3で、新型の携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」(以下、3DS)を発表しました。 NINTENDO OF AMERICAの社長兼CEOのReggie Fils-Aime氏は、バーチャルボーイ時代から立体視に対する研究と検討を重ねてきた結果、任天堂としては眼鏡をかけて行う立体視が、人間のライフスタイルにおいて不自然であると結論づけ、新型携帯ゲーム機の3DSには裸眼立体視方式を採用することを宣言しました。
Nintendo3DS
「ゲーミングにおいては裸眼立体視の方が自然である」と
NINTENDO OF AMERICAの社長兼CEOのReggie Fils-Aime氏。
IwataCEO
3DSを掲げ上げる任天堂代表取締役社長、岩田聡氏。
3DS_RED
ニンテンドー3DS。
外形サイズはW134mm×H74mm×D21mm、重さは約230gで、ほぼ現行DSと同程度。
  • 立体視対応画面は上側の方のみで、画面サイズはワイド3.53インチとなっています。この立体視対応液晶パネルの解像度は800×240ドットで、裸眼立体視の方式は視差バリア方式を採用します。 2視差に対応するため片目あたりの解像度は400×240ドット相当になります。視差は画面を横長状態で見たときにしか発生できないため、画面を縦に構えたときには立体視に対応しません。視差強度は上画面右側のスライダースイッチで無段階に変更が可能になっています。 意外にも、立体視画面の方はタッチ入力に未対応で、現行DSと同じく、下側画面のみがタッチ入力対応になっています。下側の画面サイズは3.02インチで、解像度は320×240ドットです。 現行のDSは2画面とも3.25インチで192×256ドットですから、3DSは上画面は現行よりも大きく、下画面は現行よりも小さいことになります。解像度は3DSの方が両画面とも高くなります。3DSは現行DSのソフトが利用できますが、画面にどう表示されるのかが気になるところです。
3DS_Slider
立体視画面の右肩には立体視の強弱を変更できるスライダー。
3DS_panel
タッチパネルは下画面のみ。
  • 十字キーや[A][B][X][Y]ボタンの構成は現行DSと同じですが、これに加えて3DSではスライドアナログパッドが新設されます。さらに、加速度センサーとジャイロセンサーを内蔵することで、3DS本体そのものの動きを検出する能力が備わりました。 ゲームカードスロットは3DS用ゲーム(発売時点では最大2GB)と現行DSゲームの両方に対応し、SDカードスロットも搭載されます。 無線LANは現行DSと同じくIEEE802.11系に対応しますがセキュリティ機能が強化されます(WPA/WPA2への対応)。また、バックグラウンドで無線LANアクセスポイントや他の3DS同士のデータ通信を行う新通信機能が搭載されるとのことです。 興味深いのは3DSに立体写真撮影機能が搭載されるところです。 3DSの上側の立体視対応画面の背面には2つのカメラデバイスが並んで実装されており、これが立体写真の撮影に対応します。撮影した写真はもちろん上画面での立体視閲覧が可能で、この写真を3DSユーザー間で送り合うこともできます。 また、現行DSiとの互換を取るためでしょうか、本体内側にもカメラデバイスが備わっています。なお、合計3つのカメラデバイスの撮影解像度は640×480ドットになるとのことです。
3DS_camera
3DSには3Dカメラも搭載される
  • 3DSの発売日や価格は今回のE3では明らかになりませんでしたが、2010年度内の発売が予定されているようです。 任天堂ブースでは、実際に「Kid Icarus UPRISING(新・光神話 パルテナの鏡)」、「nintendogs+cats」などが、3DSの実機でプレイすることができるようになっていたため、発売に向けてハード、ソフト共に開発が着々と進んでいることがうかがい知れました。 反面、据え置き型のWiiに関しては今回のE3ではハードウェア面でのアップデート報告は特になく、新作ソフトのアナウンスに終始していしました。現状、Wiiは、テレビやオーディオ機器への接続がアナログ手段しかなく、HDMIをはじめとしたデジタル接続手段が用意されていません。近年、新発売されているAV家電の多くでアナログ端子の廃絶が進んでいることもあり、早期の対応が望まれます。
NitendoBooth
任天堂ブースは3DSを実際にプレイ出来るとあって来場者が殺到。
ピーク時は約3時間待ちとなった。
Zelda
任天堂のトップクリエイター宮本茂氏、自らがWii版の新作「ゼルダの伝説」を実演プレイ。
  • おわりに
  • 今年のE3のキーワードはモーションコントロールシステム(MCS)、そして立体視がキーワードだったように思えます。 カジュアルゲーマー層を取り込む手段として、任天堂のWiiを見習い、マイクロソフトとソニーは共に独自のアプローチのモーションコントロールシステムを導入して来たわけですが、この層の多くは既にWiiにユーザーとして取り込まれているため、新たにPS3やXbox360のMCSに手を出してくれるかは見通しを立てにくいと思います。 また、従来の据え置き型ゲーム機(PS3やXbox360)プレイヤーがMCSに興味を持ってくれるかも未知数です。 ただ、KINECT、PS Moveともに、技術的にはWiiよりも大部進化したものになっており、ゲームコントローラーを超えた、次世代のマンマシンインターフェースとして進化していく可能性は十分にあると思えます。 
    立体視に関しては、裸眼立体視を採用した任天堂と、眼鏡立体視を採用したソニーとマイクロソフト…と分類されがちですが、任天堂が裸眼立体視方式を採用したのは、3DSが携帯ゲーム機だったためでしょう。パーソナルに楽しむ携帯ゲーム機で、ユーザーに立体視眼鏡を携行させるのはナンセンスすぎますし、裸眼立体視方式は視点が固定される弱点があるといっても、立体視を行うのはプレイヤー自身に限定されますから何ら不都合がありません。任天堂は3DSに裸眼立体視パネルを採用したのは、眼鏡立体視方式への対抗意識というよりは自然な流れによるものと推察されます。 一方、ソニーは、3Dブルーレイを楽しむプラットフォームとしての自社製の眼鏡立体視方式の3D液晶テレビ「BRAVIA」シリーズとの連動したマーケティングが欠かせず、しかもPS3が3Dブルーレイプレイヤーとして利用できる側面も訴求しなければならないため、今回のような積極的な立体視対応アピールが行われたのでしょう。  MCS、立体視、それぞれ単体では、ただの変わり種の一要素にしか思えなくもないですが、ソニー(SCE)が言っているように、両者が同時に組み合わさったときには、ゲームプレイ体験に革新がもたらされる可能性は否定できません。 MCSと立体視、これらがどのような相乗効果を見せてくれるのか、注目していく必要があります。
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