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2010年7月9日

第三回:E3レポート
その①

  • 世界最大級のゲーム関連の見本市がE3が、今年も初夏の時期、6月15日から3日間、アメリカのロサンゼルスで開催されました。
    今回はその様子をレポートしていきたいと思います。

  • 世界最大級のゲーム関連トレードショー「E3」が開催
  • E3は「Electronic Entertainment Expo」の略で、直訳するならば「電子娯楽博覧会」といった感じでしょうか。 非常に華やかなイメージがありますが、実はE3は、ビジネストレードショーであるため、一般来場者が入場することが出来ません。E3に来場できるのはゲーム業界およびゲーム産業関連事業に従事している人で、しかも18才以上の人に限られています。この点は大きく東京ゲームショウと異なっている点です。なので、ゲームショウでありながら、会場内にほとんど子供の姿がありません(ごく希に見かけることがありますが、業界関係者の家族のようです)。このため、バイオレンス系の表現を含む過激なゲームタイトルなども、会場内では普通に展示されています。
    E3 inside
    世界最大規模のゲーム関連トレードショー「E3」
    「E3は世界最大」という印象が定着していますが、実は数年前、ふくれあがった開催規模を一度リセットすべく、大幅な開催規模縮小を断行したことがあります。それが2007年と2008年の開催で、この2年はサンタモニカ市周辺の飛行機格納庫跡やホテルの宴会場などを使用して行われました。来場者は、完全招待制であったため、この二年は4000~5000人の来場者だったと言われています。
warehouse
2007年のE3はサンタモニカ市の飛行機格納庫跡を会場にして開催された。
天下のソニーのブースも、この時は丸テーブル数個であった。
  •  2009年の開催は、2006年までと同様のロサンゼルス・コンベンションセンターでの大規模開催に戻りました。今年、2010年は大規模開催に戻った二回目の開催となります。ちなみに、E3運営側からの発表によれば、昨年の来場者は4万人、今年は4万5000人程度だったそうで、来年2011年も、同規模で開催するようです。E3運営側に規模縮小を決意させた2006年の開催は来場者が6万人超だったそうなので、運営側としては4万~5万人の来場者規模を想定ラインとしているのかも知れません。
大規模開催が復活して2年目の2010年のE3。
  • マイクロソフトはモーションコントロールシステム「KINECT」と新型Xbox360を発表
  • マイクロソフトは、これまで「Project Natal」という開発コードネームで呼称していた、Xbox360専用のモーションコントロールシステム(MCS)を「KINECT」(キネクト)として、E3会期中に発表しました。
KINECT

KINECT」を発表するマイクロソフト、上級副社長DON MATRICK氏

  • KINECTは、15本程度の人体のボーン構造をリアルタイムに認識することができるMCSで、システム的には同時に複数人の人体の姿勢をリアルタイムに取得することができます。システム的には三人以上の姿勢を検知することも可能なようですが、人数が多くなればなるほどシステム負荷や認識までのレイテンシが大きくなる関係から、人体の動きをリアルタイム入力させたゲーミング用途には大体2人までを想定しているようです。 システムの根幹となっているのは、深度センサーで、これはイスラエルのPrimeSenseが開発したものがベースになっています。この深度センサーは、赤外線光源とこれを捉えるCMOSセンサーの組み合わせによって構成され、その対象範囲の遮蔽物までの距離をリアルタイムに取得することによって実現されます。PrimeSense側の発表によれば、2メートル先の対象物に対して、上下左右で3mm精度の認識力、奥行きに関しては1cm精度の認識力があるとのことです。
kinect_device

KINECTデバイス

KINECT_device2

明らかになったKINECTデバイスの構造

primesense

PrimeSense社が発表した同社の基礎技術のブロックダイアグラム。
KINECTはこの技術がベースになっている。

  • KINECTにはカラーのCMOSカメラ(イメージセンサー)も搭載されており、ここからの取得映像を解析して顔面認識などを行い、深度センサーの情報と組み合わせて人型を認識します。人型を認識したあとは、この深度センサーからの情報と、逆運動学(IK:Inverse-Kinematics)に基づく人体姿勢の知識モデルとを組み合わせて、リアルタイムに人体の姿勢を推測していきます。 なお、IKとは、取り扱うものが人体の場合であれば、人体を構成する一部の部位の位置や動きが判明すれば、そこから人体の常識的な可動構造に配慮して人体全体の姿勢を逆算できるという仕組みのことです。 KINECTでは、この他、複数のマイクユニットを水平に並べて実装したマイクアレイが仕込まれており、リアルタイムの話者位置認識もできるようになっています。 ただし、ゲーム用途では、ゲーム内BGMがノイズとなってしまい認識率が低下してしまうためなのか、今回のE3では、このデモは行われませんでした。 この他、台座部分は電動モーターが仕込まれており、上下方向に自動的に動く機構が駆込まれています。これは、ユーザーの上下の動きに追従するために利用されます。
Ubisoft

UBISOFTは姿勢や手足の動きをレクチャーするフィットネスソフト「Your Shape」を発表。

Harmonix

HARMONIX/MTVは全身の動きを判定するダンスゲーム「DANCE CENTRAL」を実演

  • KINECTでは、上半身だけでなく、下半身のアクションまでを取得できるのが特徴で、ダンスゲームやフィットネスゲームなどに大きな革新をもたらすことが期待されています。 これまでのダンスゲームは地面に敷かれた足押しボタンを押すだけの、いわばステップの正確さを競うものでした。KINECTでは肢体の動きを判定できるので、手足が連動したダンスモーションの正確さを競うことができるようになります。同様にwii fitに代表されるフィットネスゲームも、これまでは足側の荷重変化だけを見ていましたが、手足の動きや姿勢をトラッキングできるので、ヨガや太極拳の型などを正確にレクチャーすることが可能になります。
shape

人間の手足の動きや姿勢を認識することで、ゲームがどう変わっていくのか。
「Your SHape」(UBISOFT)の画面より。

MS_ownGame

マイクロソフトはKINECT対応の自社開発ゲームを精力的に投入していく。

  • マイクロソフトは、このKINECTに加え、新型のXbox360もE3会期中に発表しました。 新型Xbox360は基本的な機能面に大きな変化はありませんが、外形体積、重量共に従来型に対して約20%のスリムアップを実現しています。CPUとGPUを1チップに統合し、これを45nmプロセスルールで製造することで大幅な低消費電力化を進め、その他の回路やプロセッサの最適化やシュリンクとの相乗効果で、従来型と比較して-30%以上の低消費電力を達成しています。 これに合わせて、DVDドライブの静音化、冷却機構の見直し推し進められ、静粛性能も向上しています。 この他、HDMI端子、光デジタル音声端子、250GBハードディスク、IEEE802.11n準拠の無線LANといった時代に適合したペリフェラル機能も標準搭載されています。その代わり、メモリカードスロットは廃止されました(その代わりUSBメモリが使えます)。 興味深いのはKINECT接続用の専用端子の装備です。KINECTは従来型Xbox360でもUSB2.0端子経由で接続することができますが、その場合、KINECTデバイスの消費電力がUSBパワーだけで賄いきれないため、ACアダプタが必要になります。そこで、新型Xbox360では、ACアダプタを不要とするため、KINECT用の電源ラインを設けた専用端子を設けたというわけです。端子の形状こそ違いますが、新型Xbox360のKINECT端子は実質的にはUSB2.0インターフェースになっています。
XBOX360

スリム化され、省電力性能が高められた新型Xbox360。
色は現状、黒のみ。

  • KINECTは北米で11月4日の発売を予定しており、日本でも年内の発売がアナウンスされました。ただし、価格は未定となっています。 新型Xbox360は、この発表の直後に出荷が開始され、日本でも6月24日から価格29,800円で発売となりました。従来機は併売されますが、新型のリリースに伴って値下げが行われています。
  • ソニーは立体視対応を強く訴求。
    モーションコントロールシステム「Playstation Move」も同時発表
  • ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCE)は、今回のE3で、Playstation3(PS3)の立体視対応を強く訴求しました。 ソニーは、ソニーグループが放送局側の立体視カメラから、ユーザー側の立体視テレビまでを提供し、そしてSCE自身が立体視対応ゲーム機であるPS3までを提供していることを挙げ、垂直統合の形でソニーグループが「3D」(立体視)環境を整えていることを強調しました。さらに、新旧全てのPS3が立体視対応であり、既に3,500万台のPS3が出荷済みであることをうけて、PS3が世界で最も普及した立体視対応ゲーム機であると宣言しました。
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「PS3は最も普及している立体視対応ゲーム機である」SCE、President & Group CEO、平井一夫氏
  • 立体視対応ゲームタイトルについても2011年3月までに20作品提供されることをアナウンスし、「立体視対応ゲームがPS3で標準化される」とまで主張しました。ソニーとしては、液晶テレビ「BRAVIA」シリーズの立体視対応製品をリリースしたばかりなので、立体視テレビのプライマリコンテンツとしてゲームも訴求して行きたい思惑が強いのだと思われます。 「KILLZONE3」「グランツーリスモ5」「MOTOR STORM APOCALYPSE」といったSCEのファーストパーティ・スタジオの人気タイトルを全て立体視に対応させる姿勢を見せたことからも、本気度はかなりのもののようです。 マイクロソフトも、従来型、新型ともにXbox360を立体視へ対応させていく方針を発表しましたが、具体的なスケジュールは明かされませんでした。 現時点では、マイクロソフト側のアナウンスは、まだ、ソニー・Playstation陣営の立体視対応戦略への対抗姿勢の意味合いが強いのだと思われます。
KILLZONE3
GrandTwo
「KILLZONE3」や「グランツーリスモ5」を
実際に立体視でプレイすることが出来たSCEブース
  • そして、SCE側もマイクロソフトのKINECTに対抗して、PS3専用のモーションコントロールシステム(MCS)「Playstation Move」(以下、PS Move)を発表しました。 PS Moveは先端に光球が備え付けられたスティック状のゲームコントローラを手に持ってモーションを入力することになり、イメージ的には任天堂のWiiリモコンとよく似たシステムです。 このPS Moveコントローラー内には、3軸のジャイロセンサー、3軸の加速度センサー、地磁気センサーが内蔵されており、ユーザーの手の動きや姿勢をこれらから検出します。また、コントローラ先端の光球は、Playstation Eye(PS Eye)と呼ばれるUSBカメラデバイスによって捉えられ、その取得イメージの円形状の大小を認識することで、PS Eyeからの距離を認識します。マイクロソフトのKINECTは専用の深度センサーを実装していましたが、PS Moveでは、典型的なカメラデバイスを用いて深度を算出するアプローチをとります。
PeterDille
「PS Moveはゲームのあり方を別の次元に変えていくはずだ」
SCEA、Senior Vice President、Marketing & PlayStation Network、Peter Dille氏
PSMove
PS Move対応タイトルとしてSCEが最も強く訴求していたのが「SORCERY」。
PS Moveコントローラを杖のように振ることで様々な魔法を発動できる。
  • ちなみに、コントローラ先端の光球がなぜ球体なのかというと、それは球がどこから見ても真円として捉えられるからです。他の形状では角度によって見え方が変わってしまい、正しい大小が捉えられません。これは、発想としては、旧来のモーションキャプチャー・システムがボディスーツにピンポン球形状の反射球を付けていたのと同じ理屈です。 PS Moveコントローラは、最大4機までをシステムに登録可能で、個体の識別は、この光球の色で行います。SCEはPS Move用オプションコントローラとしてアナログスティックとボタンを実装した移動操作用のサブコントローラ「PlayStation Move ナビゲーションコントローラ」も同時リリースしますがこちらにはセンサー類は入っておらず、実質的にPS3の標準パッドの形状変更簡略化版という位置づけになります。このサブコンも4基までシステムに登録ができます。 PS Eyeは顔面認識をするため、両手にPS Moveコントローラを握った状態であれば、マイクロソフトのKINECTと同様にIK理論を用いて、人体の姿勢を推測/認識することもできます。ただし、PS Moveシステムでは、基本的にはPS moveコントローラの認識しか行っていないため、下半身の動きをIK理論で導き出すことは出来ません。下半身の動きをPS Eyeで取得した映像から推測することもできるかも知れませんが、上半身ほどの精度は期待できないでしょう。この点においては、全身を認識するKINECT、上半身だけを認識するPS Moveという明確な差異があります。
PS3_Move1
IK理論を適用することでPS Moveでも
上半身の動きを正確にトラッキングすることが可能
PS_Move2
正確に奥行きとスティック型コントローラの軌跡を
トラッキングできるため仮想空間に文字を描くこともできる
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